EBBRO 1/20 Lotus72E製作? Vol.11


いつもながら気まぐれな更新が続いているこの1/20 Lotus72E製作記ですが、実は長いブランクの間に何もしていなかった訳では無く(いや、何もしていなかった事もありましたが)、新たな技法にチャレンジしたりしている事もあります。今回はそんなチャレンジの一つであるエッチングパーツの自作について2~3回に渡って紹介したいと思います。

そもそもエッチングパーツを自作したいと思うようになったのは72D仕様や1973年終盤戦仕様のリアウィング翼端板を自作していた時に、どうしても角度調整の穴をピンバイスで開ける際、メインエレメント後端から放射状に開いているべきなのが、ハンドでやるとどうしてもヨレヨレになってしまう。勿論プロモデラーならばそこをビシッと決めて来る訳だが、自分にはとてもそんな事は出来そうもない。しかしエッチングならPCでデザイン出来るから正確な形状が期待出来るし、その他にも正円とか自作では難しいパーツも製作する事も出来る。しかし経験もなければ何をどうすれば良いのか、皆目見当も付かないのでネットリサーチをしていたら、やはり偉大な先人は居るもので幾つかのエッチングパーツ自作例を見つける事が出来た。自分はその中でも最も手軽と思われる、モデラーサイト「闇鍋模型ドットコム」を主宰されている藤崎氏が編み出した「F式」を採用する事とした(F式の詳細はこちらのリンクを参照。その工法から、エッチングで問題となる廃液処理の方法まで懇切丁寧に記載されており、このサイトを見るだけで全容が理解出来る)。藤崎氏にはこの場を借りて多大なる御礼を申し上げたい。

クラシック・チーム・ロータスが所有する72E(1973年仕様)のリアウィング翼端板。メインエレメントの角度を調整する為のボルト穴が綺麗に放射状に開いているが、自分にはどうにもこれが上手く行かない事で、エッチングパーツの製作を決意する事に。

先ずは版下をAdobe Illustratorで製作。実は製作しようと思ったパーツを全てデザインしようとしている間に数カ月の時間が過ぎてしまい、しかも途中でモチベーションが低下する有様。何とかモチベーションを保つ為に、深い事を考えずに出来上がったパーツを利用して先ずはトライしてみる事とし、適当にパーツとゲートを作ってレイアウトしてゆく。エッチングには片面のみにモールドがある片面エッチングと、表裏両面にモールドがある両面エッチングがあるが、ここは敢えて両面エッチングにトライする為に表裏両面分の版下を制作する。完成したらこれをレーザープリンタで印刷する。印刷の際に画質が調整出来る場合は、カラーはモノクロームでコントラストを最大にしておくと、トナーの黒部分が濃く出力される為に後の工程で金属板への定着が安定し易い。

F式ではレーザープリンタで紙に印刷されたトナー部分を、ラミネーターを使って金属板へ加熱圧着するという方式を取る。自分が購入したのはアイリスオーヤマのLTA42Wで、A3用とA4用の2サイズがあり、3段階の温度調節が出来て市場価格5,000円程度(A4用)とコストパフォーマンスが高い。因みに今回の使用例はラミネーター本来の使用法から外れる為、万一故障・事故の際自分でリスクを負う事となる。

こちらは東急ハンズ渋谷店で購入した100×200×0.2の金属板。本番では洋白板を使うが、今回は実験用なので比較的価格が安い真鍮板を使う。

紙というものは同じに見えても同じではない。通常レーザープリンタで使用されるOA用紙はトナー圧着後に紙を除去する際に紙からトナーが剥がれ難くF式には向いていない。自分も事前に水溶性の紙など幾つかの物をトライしたものの、結局F式で推奨している富士フイルム製のインクジェットペーパープリンター用紙「画彩 マット仕上げ」がベストだった。やはり先人の知恵というものは偉大なりと実感した次第。

印刷した紙を版下の表裏が合わさる様に折り曲げ、間に金属板を挟んでマスキングテープで固定、そして紙の端をやはりマスキングテープを使って固定する。両面エッチングの場合はこの表裏がピタリと寸分の狂い無く合わせる必要があるので、版下の脇に位置合わせ用のトンボを入れる等の工夫が必要。しっかりと両面を合わせた積りだが、その結果は実際に金属板をエッチングしてみないと判らない為、作業は慎重に行う必要がある。

ラミネーターを最も高い温度にセットして予熱が完了したら、金属板を挟んで固定した紙をラミネーターに掛ける。手で触っても熱くない位に熱が冷めたら、ぬるま湯を入れた洗面器へそのまま投入して3~5分程度待つ。

金属板からマスキングテープと水を含んだ紙を剥ぎ取ると印刷部分が金属に貼り付いた状態になる。しかし一度ではそうキレイに紙は剥がれずに一部印刷面に残るので、その際は印刷面を引っ掻いたりしない様に注意し、無理をせず慎重に引き剥がしていく。それでもトナーの乗っていない金属部分に紙の膜が残った場合には、指の腹で丁寧に擦り取る。

乾燥後、金属部分に紙の膜が残っていないか再度確認する。もしこれが少しでも残っていると後のエッチング工程で腐蝕の障害となり、期待した形状が得られなくなるので消しゴムを使用して擦り取る。逆にトナーがベタに付いている部分は多少紙が残っていても問題は無い。
こうしてエッチング工程直前の状態まで出来上がった。コンマ数ミリ幅の微細なパターンも切れる事無くしっかり再現されており、思った以上のクオリティの高さに驚いた。

この後にいよいよエッチング工程に入りますが、今回はここまでです。

– END –


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