Lotus78 History & Markings – Vol.16 1977 Rd.09 French GP


今回はディジョン-プレノワで行われた1977年第9戦フランスGP(7月3日決勝)でのロータス78について取り上げます。既にこのシーズン最速マシン+最速ドライバーの組み合わせとなったロータス78+マリオ・アンドレッティは、前回スウェーデンGPでは不運に見舞われたものの、逆にこのフランスGPでは逆に我慢のレースを続けた結果、最後に幸運が訪れる事になります。

写真:1977年フランスGPファイナルラップ(LAP80/80)、レースも残り半周を切った時点でジョン・ワトソンのブラバムBT45のインを差してトップに浮上したマリオ・アンドレッティのJPS17。ここまでアンドレッティの猛攻をしのぎ続けてきたワトソンだったが、最終ラップにガス欠に見舞われ、目前の勝利を逃してしまう。逆に前戦スウェーデンGPをガス欠で落としたアンドレッティには、その不運を取り返す勝利となった。(ZDF


【FILE 38.1977 Rd.09 FRENCH GP – June.1-3.1977】 v1.0
JPS16(78/2) Driver: Gunnar Nilsson

参考資料:
・AutoSport 1977年9月1日号
・外部リンク >> 「A BOOKSHELF」
先ずグンナー・ニルソンのレースカーであるJPS16。中速でアップダウンの激しいディジョンに対応し、リアウィングは再びフラップが延長され、John Player Specialの文字は延長フラップ側に記入されています。その他以前にA BOOOKSHELFさんからのコメントに有った通り、コクピットカウルのNACAダクトにはチューブ形のダクトが装備されています。前戦スウェーデンGPではニコルソン-マクラーレン・チューンのDFVを使用したニルソンでしたが、このレースでは外見を見る限り、通常型のコスワースDFVに戻ったものと思われます。またFILE.41で後述しますが、このレース(恐らく決勝時)からチーム・ロータスはリアウィング上面にシーズン中の優勝を示すウイニング・ローレル(月桂樹のデザイン内に優勝レース名を白文字で記入したもの)を記入しています。しかしニルソンのマシンにその有無を確認出来る写真が無く、その状態は不明です。
スペインGPでの5位入賞から始まり、ベルギーGPでの優勝を経て完全に自信を付けたニルソンは、プラクティスから縁石カットやフルカウンターを多用した得意の(アンドレッティとは対照的な)アグレッシブなドライビングで攻めまくり、初日午前はトップのアンドレッティに続く2番手、最終結果でもポールポジションを獲得したアンドレッティとコンマ5秒差で、ベルギーと並ぶ自己最高タイの予選3位に着けました。しかし決勝直前にストレートスピードの向上を狙ってリアウィングをやや後方にオフセットするセッティング変更を行った事が裏目に出てしまい、オーバーステアの上にストレートスピードも伸びない、という二重苦に陥ります。ニルソンはスタートでダッシュを決めたブラバムのジョン・ワトソンとリジェのジャック・ラフィーに先行されて5位に後退すると、前方を走るアンドレッティは難無くラフィーをパスしたものの、ニルソンはずっとラフィーを抜く事が出来ずに苦しみ、レース中ずっとセッティング変更した事を悔やむ事になります。ニルソンは先行するラフィーと後方から迫るフェラーリのニキ・ラウダを含めた4位争いを展開しますが、61周目にラフィーが周回遅れとなったブラバムのハンス-ヨアヒム・シュトゥックに進路を塞がれた隙を突いてパス、ラウダを3秒差で抑えて4位入賞を果たしました。全体的に健闘は見せたものの、ニルソンにとってはやや悔いの残るレースとなってしまいました。

<外観上の特徴>
・フロントノーズのカーナンバー6は、右上のカギ部分が折れ曲がっているタイプ
・フロントウィングにガーニーフラップ追加
・フロントウィング翼端板は舟形タイプ
・右側NGKロゴ上部に「E」マーク追加
・リアウィング上面のJohn Player Specialの文字はストライプの枠外、延長フラップに掛かって記入


<改訂履歴>
・v1.0(2011/12/31) 新規作成


【FILE 39.1977 Rd.09 FRENCH GP – June.1-2.1977】 v1.0
JPS17(78/3) Driver: Mario Andretti

参考資料:
・AutoSport 1977年9月1日号
・外部リンク >> 「A BOOKSHELF」
アンドレッティのJPS17も、基本的には中速のディジョンに合わせたリアウィングの変更以外、大きなモディファイは無くフランスGPを迎えますが、アンダーストープでは左右で異なっていたカーナンバーはベルギーで登場したカギ部分の丸いタイプに戻されています。尚、FILE.41で詳述しますがこの時点ではリアウィング上のウイニング・ローレルが記入されておらず、ウイニング・ローレルは週末のどこか途中で記入されたか、リアウィングの交換作業を行ったか、のいずれかと思われます。またエンジンのカムカバー部分にニコルソン-マクラーレンのロゴが確認出来る写真が無い事から、このレースではアンドレッティはコスワースのスペシャルDFVを引き続き使用した物と思われます。
既にスペインGP以降の4戦中、モナコを除く3戦でポールポジションを奪っているアンドレッティは、猛暑に見舞われたディジョンでも好調を維持、金曜午前はトップ、しかもニルソンとのワン・ツーでロータス78の速さを誇示します。午後にはワトソンにトップを奪われるものの土曜には再びトップを奪還し、3戦連続のポールポジションを獲得します。因みに土曜日のベストラップは直前に降ったにわか雨で路面温度が下がったタイミングを見計らって決めた、速さだけでなく頭脳プレーも見せた走りでした。

<外観上の特徴>
・フロントノーズのカーナンバー5は、カギ部分の根元が斜めにカットされた形状
・フロントウィングにガーニーフラップ追加
・フロントウィング翼端板は半月形タイプ
・サイドウィングのカーナンバーは左右共に新タイプ
・右側NGKロゴ上部に「E」マーク追加
・リアウィング上面のJohn Player Specialの文字はストライプの枠外、延長フラップに掛かって記入


<改訂履歴>
・v1.0(2011/12/31) 新規作成


【FILE 40.1977 Rd.09 FRENCH GP – June.1.1977】 v1.1
JPS17(78/3) Driver: Mario Andretti

参考資料:
・AutoSport 1977年9月1日号
・外部リンク >> 「A BOOKSHELF」
こちらは番外編的内容ですが、恐らく金曜日のピットで見られたJPS17の姿。両サイドウィングのカーナンバーが、開幕戦アルゼンチンGPでも見られたのと同様に「6」の一部をテープで塞いで表現しています。但しロールバーの高さやモノコックの長さ、更にドライバー名が入っている事から判断してJPS15でもJPS16でもなく、アンドレッティのレースカーJPS17に一時的にニルソン用JPS16のサイドウィングを装着したものと思われます。

<外観上の特徴>
・フロントノーズのカーナンバー5は、カギ部分の根元が斜めにカットされた形状
・フロントウィングにガーニーフラップ追加
・フロントウィング翼端板は半月形タイプ
・両サイドウィングのカーナンバーは「6」の一部をテープで塞いで使用
・右側NGKロゴ上部に「E」マーク追加
・リアウィング上面のJohn Player Specialの文字はストライプの枠外、延長フラップに掛かって記入


<改訂履歴>
・v1.0(2011/12/31) 新規作成
・v1.1(2012/03/05) サイドウィングのカーナンバーに関する記述を訂正


【FILE 41.1977 Rd.09 FRENCH GP – June.3.1977】 v1.0
JPS17(78/3) Driver: Mario Andretti

参考資料:
・AutoSport 1977年9月1日号
・外部リンク >> 「A BOOKSHELF」
日曜日の決勝、スターティンググリッドについたJPS17のリアウィングには、前方から向かって左から第4戦USGPウェスト、第5戦スペインGP、第7戦ベルギーGPでの優勝を示すウイニング・ローレルが計3か所にステッカーで貼付(本稿では今後便宜上「記入」と表現します)されました。FILE.39でも述べた通り記入されていない写真もある為、どのタイミングから記入されたのか、ニルソンのJPS16にもレース時記入されていたのかが現段階では不明です。尚、それ以外にはFILE.39と同じマーキングです。
このレースをポールポジションからのスタートとなったアンドレッティでしたが、スタートでホイールスピンを起こしてしまい、2位からスタートしたジェームス・ハント(マクラーレン)、4位のワトソン、そして5位のラフィーにまでパスされて4位に後退します。しかしベルギーの轍は踏まずとアンドレッティは今回は落ち着いたレース運びを見せ、2周目にはラフィーを抜き返して3位に浮上、その後もじっくりと周回を重ねて18周目にトップから徐々に後退して来たハントをパスして2位に浮上します。この時点で約7秒あったトップのワトソンとの差をアンドレッティは少しずつ詰めて行き、40周目に約5秒、50周目に約3秒となり、65周目頃にはほぼテールtoノーズの状態になります。レースは残り約15周、ワトソンとアンドレッティのマッチレースが展開されますが、アンドレティのDFVはストレートエンドでレブ・リミッターを叩いてしまい12気筒のワトソンをどうしても抜けず、そのままファイナルラップへと突入します。あと1周、ワトソンは最後までアンドレッティを振り切るかと思われましたが、コース中間部のヘアピン状の延長セクションに差し掛かったところで、今回はワトソンのアルファロメオ12気筒がガス欠症状に見舞われます。ワトソンはそれでも必死の抵抗を見せますが、延長セクションの終わりとなる左コーナーでアンドレッティは遂にサイド・バイ・サイドからワトソンのインをこじ開けてパス、トップでチェッカーを受けて今シーズン3勝目を挙げました。そしてアンドレッティはポイントリーダー争いでも遂にトップのラウダに1ポイント差と迫る2位に浮上し、今シーズンのタイトル争い最有力候補に名乗りを上げました。

<外観上の特徴>
・フロントノーズのカーナンバー5は、カギ部分の根元が斜めにカットされた形状
・フロントウィングにガーニーフラップ追加
・フロントウィング翼端板は半月形タイプ
・サイドウィングのカーナンバーは左右共に新タイプ
・右側NGKロゴ上部に「E」マーク追加
・リアウィング上面のJohn Player Specialの文字はストライプの枠外、延長フラップに掛かって記入
・リアウィング上面にウイニング・ローレル記入(USGPウェスト、スペインGP、ベルギーGP:計3個)


<改訂履歴>
・v1.0(2011/12/31) 新規作成



ご意見、別考証・別見解など歓迎します。コメント欄をご利用ください。

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