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EBBRO 1/20 Lotus72E製作? Vol.11


いつもながら気まぐれな更新が続いているこの1/20 Lotus72E製作記ですが、実は長いブランクの間に何もしていなかった訳では無く(いや、何もしていなかった事もありましたが)、新たな技法にチャレンジしたりしている事もあります。今回はそんなチャレンジの一つであるエッチングパーツの自作について2~3回に渡って紹介したいと思います。

そもそもエッチングパーツを自作したいと思うようになったのは72D仕様や1973年終盤戦仕様のリアウィング翼端板を自作していた時に、どうしても角度調整の穴をピンバイスで開ける際、メインエレメント後端から放射状に開いているべきなのが、ハンドでやるとどうしてもヨレヨレになってしまう。勿論プロモデラーならばそこをビシッと決めて来る訳だが、自分にはとてもそんな事は出来そうもない。しかしエッチングならPCでデザイン出来るから正確な形状が期待出来るし、その他にも正円とか自作では難しいパーツも製作する事も出来る。しかし経験もなければ何をどうすれば良いのか、皆目見当も付かないのでネットリサーチをしていたら、やはり偉大な先人は居るもので幾つかのエッチングパーツ自作例を見つける事が出来た。自分はその中でも最も手軽と思われる、モデラーサイト「闇鍋模型ドットコム」を主宰されている藤崎氏が編み出した「F式」を採用する事とした(F式の詳細はこちらのリンクを参照。その工法から、エッチングで問題となる廃液処理の方法まで懇切丁寧に記載されており、このサイトを見るだけで全容が理解出来る)。藤崎氏にはこの場を借りて多大なる御礼を申し上げたい。

クラシック・チーム・ロータスが所有する72E(1973年仕様)のリアウィング翼端板。メインエレメントの角度を調整する為のボルト穴が綺麗に放射状に開いているが、自分にはどうにもこれが上手く行かない事で、エッチングパーツの製作を決意する事に。

先ずは版下をAdobe Illustratorで製作。実は製作しようと思ったパーツを全てデザインしようとしている間に数カ月の時間が過ぎてしまい、しかも途中でモチベーションが低下する有様。何とかモチベーションを保つ為に、深い事を考えずに出来上がったパーツを利用して先ずはトライしてみる事とし、適当にパーツとゲートを作ってレイアウトしてゆく。エッチングには片面のみにモールドがある片面エッチングと、表裏両面にモールドがある両面エッチングがあるが、ここは敢えて両面エッチングにトライする為に表裏両面分の版下を制作する。完成したらこれをレーザープリンタで印刷する。印刷の際に画質が調整出来る場合は、カラーはモノクロームでコントラストを最大にしておくと、トナーの黒部分が濃く出力される為に後の工程で金属板への定着が安定し易い。

F式ではレーザープリンタで紙に印刷されたトナー部分を、ラミネーターを使って金属板へ加熱圧着するという方式を取る。自分が購入したのはアイリスオーヤマのLTA42Wで、A3用とA4用の2サイズがあり、3段階の温度調節が出来て市場価格5,000円程度(A4用)とコストパフォーマンスが高い。因みに今回の使用例はラミネーター本来の使用法から外れる為、万一故障・事故の際自分でリスクを負う事となる。

こちらは東急ハンズ渋谷店で購入した100×200×0.2の金属板。本番では洋白板を使うが、今回は実験用なので比較的価格が安い真鍮板を使う。

紙というものは同じに見えても同じではない。通常レーザープリンタで使用されるOA用紙はトナー圧着後に紙を除去する際に紙からトナーが剥がれ難くF式には向いていない。自分も事前に水溶性の紙など幾つかの物をトライしたものの、結局F式で推奨している富士フイルム製のインクジェットペーパープリンター用紙「画彩 マット仕上げ」がベストだった。やはり先人の知恵というものは偉大なりと実感した次第。

印刷した紙を版下の表裏が合わさる様に折り曲げ、間に金属板を挟んでマスキングテープで固定、そして紙の端をやはりマスキングテープを使って固定する。両面エッチングの場合はこの表裏がピタリと寸分の狂い無く合わせる必要があるので、版下の脇に位置合わせ用のトンボを入れる等の工夫が必要。しっかりと両面を合わせた積りだが、その結果は実際に金属板をエッチングしてみないと判らない為、作業は慎重に行う必要がある。

ラミネーターを最も高い温度にセットして予熱が完了したら、金属板を挟んで固定した紙をラミネーターに掛ける。手で触っても熱くない位に熱が冷めたら、ぬるま湯を入れた洗面器へそのまま投入して3~5分程度待つ。

金属板からマスキングテープと水を含んだ紙を剥ぎ取ると印刷部分が金属に貼り付いた状態になる。しかし一度ではそうキレイに紙は剥がれずに一部印刷面に残るので、その際は印刷面を引っ掻いたりしない様に注意し、無理をせず慎重に引き剥がしていく。それでもトナーの乗っていない金属部分に紙の膜が残った場合には、指の腹で丁寧に擦り取る。

乾燥後、金属部分に紙の膜が残っていないか再度確認する。もしこれが少しでも残っていると後のエッチング工程で腐蝕の障害となり、期待した形状が得られなくなるので消しゴムを使用して擦り取る。逆にトナーがベタに付いている部分は多少紙が残っていても問題は無い。
こうしてエッチング工程直前の状態まで出来上がった。コンマ数ミリ幅の微細なパターンも切れる事無くしっかり再現されており、思った以上のクオリティの高さに驚いた。

この後にいよいよエッチング工程に入りますが、今回はここまでです。

– END –


EBBRO 1/20 Lotus72E製作? Vol.10


ロータス72E製作、今回はインパネ周りの製作です。

まずはキットのインパネにSTUDIO27の72C用のメーター周りのリングパーツを接着する。接着前にインパネ部分のパーツのモールドを一旦全て削り落とすべきか、それともそのままモールドの上から接着してしまうべきか迷ったが、より立体感が出る事を期待して後者のやり方にした。インパネ下部のシャシープレートは貼付位置が時期により異なり正確なところは不明。恐らく72D迄は左下、72E以後は右下に貼付された事が多かった様だ。写真上の裏側部分はプラ棒で適当にメーターのメカ部分を再現。

エンジンのカムカバーの時と同様、一旦セミグロスブラックで塗り潰し。

その後メーターのリング部分のみをシンナーで拭き取る。尚72Eの一部は右側のメーターリングは黒だった様なので、右側のパーツはこの状態を再現してみた。

メーター裏のワイヤリングは完成後も僅かに見えるので是非再現したいところ。しかし完璧にやろうとするととても完成出来ないので、自分のやる気・技量と相談しながら妥協点を探った結果、こんな感じに落ち着いた。

メーター目盛部分にキットのデカールを貼付し、その上からいつも使っているGSIの水性トップコート(光沢)を面相筆に掬い取ってリング内に滴下してガラス面の光沢を表現する。

スイッチはさかつうのボタンスイッチとトグルスイッチを使用。ちょっとここまでの工作がイマイチだったのが、スイッチを付けただけでグッと立体的でイイ感じになった。

これを何だかんだやりながら3台分製作。

コクピットのバーツを組み立て、ドライバーの左側にケーブルを通すスペースをプラ板で追加。尚、クラシック・チーム・ロータスが所有する72E/9には右側にも同様のスペース(幅は狭い)が存在していたので右側も再現してみたのが写真に写っているが、少なくとも1973年当時のシャシーには存在していなかった事が後から判明し、折角作ったものを塗装前に撤去する羽目に。

塗装はタミヤTS-83メタルシルバーを使用。本品は塗装前にブラック塗装&研ぎ出しでかなり鏡面に近い仕上がりになる(らしい)が、アルミっぽさを残す為に敢えて研ぎ出さずに使用。何とも表現しづらいがアルミの粉っぽさと模型的金属感がミックスした不思議な質感になった。

インパネ左裏から伸びたケーブルはコクピット左側のスペースへ通し、右裏のケーブルはコクピット内のスペースへ埋め込んで処理しつつ、インパネをコクピットへ固定して完成。


もう一度インパネ部分のクローズアップ。当初インパネ下部部分の穴には極小リベットを通す予定だったのだが、開穴しただけでも十分リベットっぽくなっているので、これ以上進めるべきか悩み中。

– END –


EBBRO 1/20 Lotus72E製作? Vol.9


久々更新のロータス72E製作、今回はDFVエンジンの製作です。

エンジンの製作及びディティールアップに使用するのはSTUDIO27製ロータス72C用エッチングパーツとE-JAN製ファンネル&デスビセット。とは言ってもエッチングで使用するのはカムカバー上のFORDのロゴのみなので72C用を使わなければいけない訳でも無い。同様にE-JANのセットも手持ちのストックが有ったというだけの理由で、他メーカーで良い物があればそれでもOK。

まずはインストに従ってブロック部分を組み立てて行く。面白い事にモノコック側エンド部分のパーツは製造ロットによって形状が違う様だ。

ブロック全体はタミヤTS-17アルミシルバーで塗装。補器類の塗装はインストには特に指示は無いが、写真等を参考にそれなりに色を変えてアクセントを付けた。

デスビ系のメタルパーツ。予めピンバイスでコードやチューブを通す為の穴を開けておく。

フューエルポンプにガソリンチューブを通した状態。後の作業時にカットする作業を省く為、長さは予め変化を付けておく。

トランペットとインジェクター。インジェクターは予めチューブの受けとなる部分に穴を開けておく。貫通しない方がベターだが貫通してしまってもあまり気にしない事に。。。

フューエルポンプをエンジンに固定し、ガソリンチューブを通す。

更にトランペットを固定し、インジェクターにガソリンチューブを差し込んで瞬接で固定。この時に見栄えを考慮してガソリンチューブやインジェクターの向きを適当に揃えておく。但しやり過ぎるとインジェクターの部品が折れてしまうので注意。

カムカバーはFORDのロゴ部分のエッチングパーツを瞬接で固定し、リベットやボルトを通す為の穴を開けたら全体をセミグロスブラックで塗装。

その後ロゴ部分のモールドをシンナーを浸み込ませた綿棒で拭き取り、ボルトとリベットを通す。ボルトはModel Factory Hiro製の外径1.1mm/内径0.7mmの物を使用。ややオーバースケールだが模型映えを考慮して敢えて採用。但しそのままだと目立ち過ぎてしまうので、エナメル塗料で軽くスミ入れしてトーンを抑えると共にディティールを浮き立たせた。


カムカバーをエンジンに固定し、デスビとプラグコードを処理して完成。エッチングのロゴとボルトが良いアクセントになった。

– END –


EBBRO 1/20 Lotus72E製作? Vol.8


昨日のエントリの通り、ホビーフォーラムまであと1カ月を切った事もあり、そろそろ72E製作も多少の進捗を見せなければならなくなりましたが、72E製作に関する前回更新は2月だったので、なんともう8カ月もの間休んでいた事に。しかしこの間決して何もしていなかった訳ではなく、実は地道にデカールの自作に取り組んでいたりしたので今回はそのデカール製作とフィッティングについて紹介します。

まずは版下をAdobe Illustratorで製作。これまで頑なに?ハンドトレースでデカールを作って来たが、ここへ来てようやく観念して同ソフトの使用方法を覚える事に…しかし一旦覚えると地道な作業ながらなかなか楽しい事が判明。かくして試作段階まで出来上がった版下を透明デカールへテストプリントした物。プリンタは前回の「1/64 京商ロータスフォーミュラ ミニカーコレクション 改造&リペイント」でも活躍してくれたALPS MD-5500。原稿はJPSゴールドと白、黒の3レイヤーで出来ているので、これをそれぞれのカラーで印刷する。因みにゴールドの部分のインクはメタリックゴールドをそのまま使用した。一部印刷に失敗したものの、まあテストなので、、、と自分に言い訳。

リアウィング翼端板部分のストライプは上手くキットの翼端板にフィットした模様。テストなので皺は気にせず。

リアウィングのメインエレメント。ウイニング・ローレルは当時関係者に配布されていた実物からトレースした自信作?だが、残念ながらこのスケールではあまり目立たず、ルーペで拡大しないと判らない自己満足の世界。因みにローレルは1972年・1973年の全優勝レース分用意した。

72E仕様のデフォーマブル・ストラクチャー部分。カーナンバーが入るゴールドのスペースは面積がある為、MD-5500ではインクリボンの継ぎ目が目立ってしまうが、それさえなければこのまま使っても良い位のクオリティ。ちなみにこの試作品ではカーナンバーが入るゴールドのスペースはやや高さがオーバー気味、逆にカーナンバーは全体的にサイズが小さいので版下の修正が必要。

1972年及び73年序盤の72D仕様のサイドポッド。ベースは72Cのパーツを流用し、これにカーナンバーが入るゴールドのスペースをフィットさせてみる。因みにこの部分の形状は後の72E仕様と異なり、全体的にやや丸みを帯びているのが特徴。上面のJPSストライプも形状が異なっているのでこれも別途製作。やはりカーナンバーはサイズが小さい。

フロントノーズ部分は72Eの一つの見せ場。JPSストライプの形状、JPSロゴ、そしてJohn Player Specialの文字も良い感じに出来ているが、そしてやはりカーナンバーはサイズが小さい。

1973年後半戦、吸気口が拡大されたインダクションボックスが採用された際に、主にロニー・ピーターソン車では大型化されたJPSロゴが使用された模様なのでこれを再現、、、でもこれはやや大き過ぎたので修正が必要。

こちらはコクピットカウル。実は72D/72Eのコクピットカウル前方中央のTEXACOロゴは、その大きさ、位置、そしてそれを囲むJPSストライプの形状に幾つものバリエーションがある。写真は1973年後半戦でピーターソン車に用いられたものを再現してみたが修正の余地が有りそうだ。

これもシーズン終盤、恐らくカナダGPとアメリカGPのピーターソン車のみ?で用いられたコクピットカウルのJPSストライプ。ミラーの視界確保の為の黒塗装の切り欠きに対し、通常はJPSストライプも合わせて切り欠かれている部分が、この切り欠きに沿ってJPSストライプが描かれている。

1972年の72D仕様を製作する為に作ったファイアストンタイヤ用のストライプデカール。テストなのでグッドイヤーのロゴを落とさずにそのまま貼付。サイズもOKな模様。

先に書いた通り、MD-5500のマイクロドライプリントもこのレベルのデカールであれば十分に実用に堪え得るクオリティを持っていますが、やはり面積のある部分でどうしてもリボンの継ぎ目が見えてしまうのが難点で、さてこれをこのまま使うかどうかは悩み中です。。。

– END –


1/64 京商ロータスフォーミュラ ミニカーコレクション 改造&リペイント


これまで数回に渡り、EBBRO 1/20 ロータス72Eについて扱って来ましたが、暫くの休載の間何もしていなかった訳ではなく、思わぬ脱線を2カ月近くしていました。今回はその脱線企画、京商ロータスフォーミュラ ミニカーコレクションの改造&リペイント作業です。

それは、1枚の写真から始まった。。。


話は4月末に遡り、去る5月1日はアイルトン・セナ没後20年という事で世間では様々な場所でセナの事が取り上げられていたので、自分もセナを偲んで1枚の写真を部屋に飾る事にした。下がその写真。

1985年モナコGPでのチーム・ロータスの両ドライバー、アイルトン・セナとエリオ・デ・アンジェリスの写真。セナの右手に巻かれたバンテージがマニュアル・シフト時代を物語る。自分にとって大のお気に入りの写真で、わざわざSutton Imagesからプリントを購入した。
アンジェリスも去る5月15日で没後28年となったが、世間一般的にマクラーレンのドライバーというイメージが強いセナよりも、そのF1キャリアの大半をロータスで過ごし、チーム歴代最長在籍ドライバーだったアンジェリスの方が思い入れがある。

そして写真だけでなく、セナとアンジェリスのマシンの模型も飾ろうか、、、と思ったのだが、自分はまだセナのマシンも、アンジェリスのマシンも模型を製作した事が無い。セナのマシンはMINICHAMPSの1/43ミニカーを所有しているが、アンジェリスのマシンは、、、無い。と思っていたら有った。それが京商ロータスフォーミュラ ミニカーコレクションだった。2009年の発売とほぼ同時にJPSカラーのマシンばかり合計10台程度購入してたものの、ワケ有ってままそれ以来ずっと棚の肥しと化していたので、これを機に陽の目を見させる事を決意。止む無く1/20 72E製作は中断する事となった。
で、そのワケとは、、、

避けられない?タバコロゴ問題。

かつてはタバコ産業のスポンサーシップに多くを依存していたモーターレーシング界。そもそもマシンをタバコの広告看板に変えた張本人であるロータスF1だが、未成年もマーケットであるミニカーを含む模型の世界ではタバコロゴ当然NG。
そこで、これにどう対処するかが問題なのだが、この京商ロータスフォーミュラ ミニカーコレクションの対応が困った事態を引き起こす事に。


同シリーズのロータス91のリア部分。タバコブランドである「John Player Special」の文字とJPSロゴの代わりに「Team Lotus Special」なる謎の文字列と、ロータスのロゴを配置している。ロータスに先立って発売されていた同社のマクラーレンミニカーコレクションではタバコロゴを「入れない」という対応していた。

一般的な観点からすればタバコロゴが消えて間延びした状態よりも、1/64というスケールも相まってそれらしく見えるし、妥当な対応なのかも知れない。しかしロータスに心酔し、かつ一端のモデラーでもある自分にとってはこれはとてもそのままディスプレイ出来る状態では無い為、ここは独自にタバコロゴを入れ、そしてそれと同時に幾つか改造をしてみる事にした。しかし、まあゴールデンウィークの休日3~4日程度使えば出来るかな、と軽く考えていたのがとんでもない泥沼に。。。

黒く塗れ!でもその前に、、、

ここでポイントになるのは、問題の「Team Lotus Special」の文字とロゴのみを塗りつぶして「John Player Special」の文字とJPSロゴにするのか、それとも完全にリペイントしてピンストライプを含めた全てのマーキングをやり直すか、という選択。しかしオリジナルの状態を見るとこのカラーもゴールドに近くて実車とは差があるし、マーキングもそれなりに拘りたくもなるだろう、という事で一つ決心をして10台(プラス試験用1台)のマシンを全てリペイントする事にした。ただのスプレーペイントなのだが、しかし1/64という未体験のスケール、そしてその数の多さで意外な手間を強いられて苦労をする事に。

まずは全てのマシンを台座から外す。そしてホイールも外そうとしたが72Eのフロントだけはホイールごと外せたもののそれ以外は無理だったのでタイヤだけ外す。当たり前の話だがマシン毎にタイヤの径が違うので、外したタイヤは分けて保管する必要がある。


当初はシンナーでオリジナルの塗装は全て落としてしまおうと考えたのだが、1台目の72Eをシンナーを付けた筆で撫でているうちに何とマシンの各パーツがボロボロと分解する事態が発生した為に中止。無改造の場合はサフを使わずそのままブラックでスプレー塗りする事に。写真はホイールはマスキングテープを巻いて保護し、台座とのボルトを通す穴に妻楊枝を差し込み、これを洗濯バサミで固定して塗装の準備をしたところ。10台もあると結構な手間。


こちらが塗装完了状態。シンナーが完全に抜けるまでの間にデカール製作に取り組む。

やはり奥が深い… JPSカラーに悩むデカール製作

さて、マシンを全て黒く塗り潰して後戻りが出来ない状態になってしまったので、ここでデカールについて考える。有難い事にこのシリーズの発売後間もなく、エッフェアルテフィーチェから対応のリペイントデカールが発売されており、これを使うのが最も現実的選択なのだが、事はそう簡単には行かなかった。

こちらがエッフェアルテフィーチェから発売された対応のリペイントデカールセットで、かつ「お得セット」と称したJPSとキャメル対応のデカールがセットになっている物。72E、78、79、97Tは2台あるので2セット購入した。因みにこちらは初期の製品で、JPSカラーがオリジナルと違和感が無い様にかなり渋めの色調となっている。しかし完全リペイントを選択した以上はよりJPSカラーに近いものにしたいところ。それを解ってか同社からは後により本来のJPSカラーに近いベージュに変更されたバージョンが発売されたものの、残念ながら88、91、97T、98T 対応品がメーカー在庫切れとなっていた為、結局使用は断念する事に。

専用デカールの製作を決意して、Adobe Illustratorを使って版下を製作。エッフェの物以外にも様々なスケールのデカールからトレース。そしてついでにシートベルト等もデカールで再現すべく製作。写真では黒に見えるJPSカラー部分も実はその下にいくつもレイヤーがあったりする。結局これだけでも2日かかってしまった。

久々に活躍する事になったAPLS MD-5500。今回は車体色の上に貼るデカールになる為、やはりベースとなる白がプリント出来るという他には無い特徴を持つこのプリンタは無くてはならない存在。
本プリンタでの印刷における弱点の一つがオレンジ色、またはそれに近い色の再現で、JPSカラーもこの問題にブチ当たる事になってしまった。基本的に黄色の上に赤のドットで再現し、色が濃くなるにつれドットが大きくなり、ある程度以上に行くとドットが赤のストライプになるのだが、これがある程度以上の濃度になると肉眼で見ても判るストライプとなってしまう為、その妥協点を探る為にマゼンタ、イエローの色調を何度も色調を変えて試し刷りを行い、そして実際にデカールを貼ってチェック、という作業を何度も繰り返し、最終的に色決めだけでもまた2日掛かる事に。一方72Eのゴールドは特色ゴールドそのまま。

実際のデカール添付作業においても、ただでさえ1/64という不慣れな極小スケール、そしてデカールの表面が脆い為に何度も押さえると色が剝げてしまってやり直しを繰り返し、休日1日フルで使っても貼付出来たのは2~3台程度。全台貼り終えた時には既に連休はとっくに終わっていた。こんなに苦労する事になろうとは。。。
そして何とか貼付を終えたら、GSIクレオスの水性トップコートでクリア掛け。普段からデカールを浸食する危険のあるラッカー系クリアは避ける自分だが、今回は特に慎重を期しての採用。更に基本的にコンパウンド掛けも不要になる位に厚塗りする事にし、見た目ウレタン系のような仕上がりに。

その後細部の修正、そしてやるか、やめるかずっと悩んでいたミラーの製作・取付を行った後、最後にタイヤを付け直し、元の台座に固定して作業完了。
結局、10台という台数の多さと自分のあまりの楽観的見通しが災いし?膨大な?労力と丸2か月という予想外の工数を要する作業になったが、最終的には長年の宿題を片付ける事が出来た事に満足する事とした。

…という事で、以下に各車の写真と、一部加工を行った物に関しててはその部分を紹介していきます。

1973 Lotus 72E
Driver: Emerson Fittipaldi / Ronnie Peterson

最初は1973年のロータス72E。京商のオリジナル状態を見ると、72Eの特徴であるサイドポンツーン、そしてリアウィング翼端板の形状を見ると、どうも前年型72Dを再現している様に見えるものの、何故かマーキングは1973年仕様、でも1973年には使用されていないカーナンバー6があったりと、かなり謎なラインナップとなっているので、1973年の両ドライバーが勝利したレースでの仕様を出来る限り再現する事にした。

最初は1973年ブラジルGPでエマーソン・フィッティパルディ優勝車。本当はこの仕様は72Eではないのだが、オリジナルの72年仕様サイドポンツーンを生かし、リアウィング翼端板を1973年仕様とした。もっともオリジナルをより生かして72Dにするという考えもあったのだが、タイヤをファイアストンに変えるのが大変そうだったのでこちらを選択。

こちらは1973年フランスGPのロニー・ピーターソン初優勝車。サイドポンツーンは72E仕様のデフォーマブル・ストラクチャーを再現、リアウィングの翼端板はフィッティパルディ車と同じく大型化、そして一旦リアウィングとオイルタンクを本体から切り離して後方に延長してみた。

ピーターソン車の製作途中。サイドポンツーンは特に深く考えずに前方に少し延長しながら上下のフィンを車体となだらかに繋がる様に整形。リアウィング翼端板は前上部をプラ板で増積。まあスケールが小さいので細かい事は気にせず雰囲気最優先。

左がフィッティパルディ車、右がピーターソン車。サイドポンツーン上面とピンストライプ形状の違いがお判り頂けるだろうか。コクピットにはシートベルトも。

ピーターソン車のリアウィング。大型化された翼端板、そしてウィング本体も後方にオフセットしている。

コクピットカウル両端にはミラーを装着。こうして拡大写真にすると工作がだいぶ雑にみえてしまうのだが、遠目には判らないのでまあ、と自分に言い訳。ロールバーも銀色に塗装したかったが塗り分けが困難だった為に省略。

1977 Lotus 78
Driver: Gunnar Nilsson / Mario Andretti

次は1977年のロータス78も1977年の両ドライバー仕様を再現。こちらは特に大きな問題も改造も無い為、、基本的にリペイントのみの作業になった。このマシンは1978年も使用されたがこちらに関しては次のロータス79へ譲る事にした。

1977年ベルギーGPのグンナー・ニルソン車を再現。勿論レインタイヤは無いけれど、ニルソンのマシンを再現するにはこれしか無い。ベルギーGPでのニルソン車の特徴であるフロントウィングのピンストライプ省略も再現。とは言っても1/64では殆ど判らない。尚この78から91まで共通だが、ホイールは一旦ゴールドに塗ってしまった後、シンナーを含ませた綿棒でリム部分を拭き取ってシルバーを復活させた。

こちらは1977年イタリアGPのマリオ・アンドレッティ車。とは言ってもポイントとてはリアウィングのウィニング・ローレルの数とカーナンバーの形状を後半戦仕様にしたのみ。写真では判り辛いが、サイドプレート前端下側を丸く削って後半戦仕様らしくしている。

ニルソン車とアンドレッティ車の違いを出す為の一番のポイントとして、ニルソン車のロールバーを引き抜ける直前まで引き上げ、そこで瞬間接着剤で固定。インダクションボックスから突出した状態にした。因みに右下のKONIロゴはJPSカラーではなく実車同様ゴールドにしてある。

1978 Lotus 79
Driver: Mario Andretti / Ronnie Peterson

1978年のロータス79も両ドライバー仕様を再現する事にしたが、シーズン後半の左ラジエーターダクトが2連になった仕様を再現するのはサイドポンツーンに大きな改修が必要になってしまう為に断念。他にもデビュー戦のベルギーGP仕様も考えたのだが結局、2台共に1-2フィニッシュを決めたフランスGP仕様とした。

カーナンバー6のピーターソン車。ロールバーは頂部をを尖らせ、ミラーはコクピットの前方に付けている(実際よりもやや前方になってしまったが)。

こちらがカーナンバー5のアンドレッティ車。ロールバーは頂部を丸め、ミラーはやや後方に付いているアンドレッティ車の特徴を出してみた。

ロールバーは両車の違いを表現する最大のポイントなのだが、オリジナルの状態では高さがピーターソン用、形状はアンドレッティ用という微妙な状態となっている為、両車の違いを表現する加工をしてみた。写真はピーターソン車のロールバーで、頂部はラジオペンチで摘んで尖らせ、後方をやや削って形状を再現した。逆にアンドレッティ車は形状はそのままに、頂部をテーブルに押し付けてやや潰し気味にして違いを再現した。


こちらはピーターソン車のミラー。因みにこの写真位に拡大すると、デカール製作の項で触れたALPSデカールの弱点であるオレンジ色再現時の赤ストライプが鮮明に見えてしまっている(実際肉眼では殆ど判らない程度だが)。

1982 Lotus 91
Driver: Elio de Angelis

今回の製作の中で最も手を掛けたのがこのロータス91。このマシンはリアカウルの仕様がフルカウル仕様(インダクション有り / 無し)とカウル無し仕様の3タイプあり、オリジナルはデトロイトGPでのリアカウル無しバージョンを再現している。しかし91と言えば何といってもアンジェリス初優勝のオーストリアGPなので、同GPのフルカウル仕様への大改造(と言っても1/64ではタカが知れているが。。。)を行う事にした。

こちらがオリジナルの91の姿。何故最もニッチなこの仕様を再現したのかは理解に苦しむところだが、逆にマニア心をくすぐられる気もしないではない。しかしここはオーストリアGPのフルカウル&インダクション付き仕様へとコンバート。

先ずは準備として台座とタイヤを外し、次にフロントウィングの撤去。更にリアウィングとロールバーは作業性を優先して一旦シャシーから外す。その後リアカウル部分はプラ板で適当に土台部分を形作っておく。

プラ板の土台の上から、エポキシパテで適当にリアカウルとインダクションを形作る。1/64なのでディティールは気にせず、91独特の前傾姿勢から、リアに向かってなだらかにカーブを描く独特のラインを意識。

サフ掛けをしながら仕上がりをチェック。ここもまた細かい部分は気にせず、雰囲気が出ていればOK。

塗装&デカール貼付後、外したリアウィングを再度固定し、更にロールバー、タイヤ、台座を付け直して完成。マーキングもオーストリアGP仕様へ。

1985 Lotus 97T
Driver: Ayrton Senna / Elio de Angelis

そして冒頭に紹介した写真の年である1985年のロータス97T。セナのロータスと言えばやはりこの97Tだが、残念ながらポルトガルGP仕様のレインタイヤは無し。とは言っても流石にレインタイヤまで再現するのは自分には無理。ここは車体の仕様だけで我慢する事に。そしてアンジェリスの方は勿論サンマリノGP仕様とした。

ポルトガルGPでのセナの97T。リペイントとミラーを付けた以外は特に追加工作はしていない。尚97Tのホイールは何故かシルバー&ゴールドではなく98Tと同様のブラックになっているので、塗装で適当に再現してみた。

こちらはサンマリノでのアンジェリスの97T。写真では判り辛いがリアウィング翼端板前縁を削って翼端板全体を98Tの形状に近いものにし、ポルトガルGP仕様とは変化をつけている。あとオリジナルではマーキングがポルトガルGP仕様になっているが、今回はカーナンバーのレイアウト等の違いもサンマリノ仕様として再現。

97Tもミラーを追加工作。ロールバーも91同様に作業前に引き抜いておき、塗装完了後に元の位置に戻してやる。

1986 Lotus 98T
Driver: Ayrton Senna

最後は1986年のロータス98T。こちらは特に仕様は意識する事は無かったのだが、ウィリアムズのナイジェル・マンセルを14/1000秒差で振り切ったスペインGP仕様とした。とは言っても特に加工を必要とした箇所は一切無く、ミラーの追加以外はほぼオリジナルの仕様のまま。

セナの98T。特に説明するポイントは無いのだが、最もデカール貼付作業に苦しんだのはこの98Tのサイドドポンツーン部分のJPSストライプで、失敗予備分含めて予め用意した枚数では足りず、この部分だけ追加印刷したりして、この部分だけで半日以上は掛ったか。97Tと変わらない様に見えるが97Tはラジエーターダクト部分がややフラットなので、98Tよりも作業がし易かった。

98Tも97T同様にミラーを追加工作。ミラーの裏側は銀色に塗装してアクセントをつけてみた。


…と、初挑戦となった1/64スケールでのリペイント、デカール製作、そして改造といろいろ大変だったというのがやはり一番大きな感想でした。
しかし写真で見るとどうしてもクローズアップ状態になってしまう為に粗が目立った上、更に蛍光灯の下で写真を撮ったのでデカールのJPSカラーがかなり黄色っぽく映ったていたり、先に触れた通りJPSカラーの上に赤いストライプが見えていたりと手作業感満載に見えますが、実際に出来上がった物を数十センチ離れた場所から見ると、JPSカラーにしてもミラーやその他追加工作した部分もかなりアクセントが効いていて、漸く数年に渡る宿題を片付けた達成感・安堵感も相まって、小さいながらも満足感も高かった作品群となりました。
….でもやっぱり自分には1/20以上のスケールが良いか。。。という事で、次回からはまた1/20の72製作を再開します。

– END –