ロータス107シリーズ製作 Vol.117 Photo Gallery / Lotus 107C


今回はロータス107シリーズ最終形となる1994年のロータス107C 1994年開幕戦ブラジルGP J.ハーバート車をフォトギャラリーで紹介します。
なお、これまでの製作過程はこちらからご覧ください。

<マシン紹介>
シャシー:ロータス107C / シャシーナンバー3
エンジン:無限ホンダMF351HC / 3500cc NAV10
レース:1994年開幕戦ブラジルGP(1994年3月27日決勝)
ドライバー:No.12 ジョニー・ハーバート(イギリス)
リザルト:予選21位 / 決勝7位(+2Laps)
それまでのフォードHB V8から無限ホンダV10へとスイッチし107Cとなったマシン。しかし既に3年目を迎え限界を迎えていたシャシーとエンジンのマッチング苦労し、特にリアの深刻なグリップ不足に苦しんだ。決勝でハーバートは予選21位と後方からのスタートとなり、波乱のレースで前を走る多くのマシンがリタイヤした事に助けられたものの、入賞には一歩届かず7位に終わった。

無限ホンダエンジン採用、アクティブサスペンション禁止、セミオートマチックギアボックス採用など大きく変貌した107C。その変更点を出来る限り再現してみた。

前年のメインスポンサーだったカストロールが撤退した事によりカラースキームは大きく変更され、ホワイトを基調にロータス伝統のグリーンとイエローを特徴的なグラフィックであしらったものとなった。なおチームメイトのペドロ・ラミーは同じ色調であるものの全く異なるグラフィックのマシンで走っていて、次戦パシフィックGPでは2台のグラフィックは入れ替わった後、第3戦サンマリノGPからはこちらではない方のグラフィックで統一される事になった。

グラフィックはタブデザインのデカールで近いものが発売されているが形状が全くフィットしなかったので全て塗装で再現し、境界のストライプはALPSのマイクロドライプリンタで自作した。デカールはミュージアムコレクションをメインに、一部はタブデザインを使用した。またウィングやアンダートレイ等にはSTUDIO27のカーボンデカールを使用した。

107Cの形状で目を引くのが、カウル後方のリアタイヤに向かって伸びたフェアリング。前年カナダGPなど一部のレースで一度採用されたものの本格採用はされなかったものが107Cになり全面採用された。またギアボックスのオイルクーラーが左右分割されたことにより冷却用のNACAダクトがこのフェアリングに設けられ、カウル後端のNACAダクトは廃止された。

アクティブサスペンションの禁止により大きく変わったサスペンション。107ではパッシブ状態でもモノショック方式を採用していたが107Cではごくノーマルなツインショックとなった。アンチロールバーはベルクランクからフロント方向に伸びたロッドを介してモノコック先端に装備されていた。なおこのショックはカバーには収まりきらなかったのか、サスペンションカバーにはバルジが設けられた。工作はほぼフルスクラッチ。

左サイドポンツーン内の電子機器大きく変更されたので形状をプラ板から切り出し、プラ棒とTopStudioのコネクタ&熱収縮チューブを使用して再現。そして新たに設けられた給油口はSTUDIO27のウィリアムズFW16用ディディールパーツを使用した。本来はグレーっぽい塗色なのだがせっかくの金属製なので、模型映えを狙ってそのまま無塗装で使ってみた。

最大の変更点である無限ホンダV10エンジンはモデラーズのフットワークFA13のものを流用、エアファンネルはTopStudio製を使用した。無限ホンダエンジンはV10エンジンのためフォードHBよりも全長が長い。一方で給油再開となった事で燃料タンク容量を小さくする事が出来た為107Cではモノコックが短縮されており、その短縮分でエンジンの全長差を吸収して107/107Bと比較してホイールベースは変わっていない。

align=”left” />一方でアクティブサスペンション禁止により油圧系配管が消えた事でリア回りのレイアウトは見違える程簡素になった。しかしながらこの部分のどこかでセミオートマチックトランスミッションの油圧系配管がと通っているはずのなのだが、詳細なレイアウトがわからず、わかる限りで再現してみた。

同じく非常にスッキリしたディフューザー周り。シーズン途中からは大幅に空力が規制された事によりディフューザーは大きくカットされる事になった。

右サイドポンツーン内のECUはフットワークFA13のものを流用。その後方の機器はよくわからないのでこれも写真を参考にそれっぽく作った。

コクピットのインパネは同じくFA13のものが形状的に近そうだったので多少加工して流用した。またステアリングはセミオートマチック化によってパドルやスイッチが追加されているので、出来る限りで再現してみた

– End –


ロータス107シリーズ製作 Vol.116 Photo Gallery / Lotus 107B ver.B


今回は前回と同じく1993年のロータス107Bですが、1993年シーズン後半戦の第12戦ベルギーGP J.ハーバート車をフォトギャラリーで紹介します。
なお、これまでの製作過程はこちらからご覧ください。

<マシン紹介>
シャシー:ロータス107B / シャシーナンバー3
エンジン:フォードHB・シリーズV / 3500cc NAV8
レース:1993年第12戦ブラジルGP(1993年8月29日決勝)
ドライバー:No.12 ジョニー・ハーバート(イギリス)
リザルト:予選10位 / 決勝5位
プラクティス初日にチームメイトのアレッサンドロ・ザナルディがオー・ルージュでクラッシュして負傷欠場となったものの、チームメイトのハーバートは好調で、路面がスムーズな高速サーキットを得意とする107Bはレースでも終始安定した走行を続けて5位入賞、この入賞がチーム・ロータスにとって史上最後の入賞となりました。

外観はブラジルGPとほぼ変わらないものの、フロントノーズ先端部分のイエローの塗分けがドイツGPを境に変更となり、印象が若干シャープになったシーズン後半戦仕様を再現した。

このレースでの外観上の特徴は、高速サーキットで用いられた三角形のフロントウイング翼端板と左側サイドポンツーンの空気を取り込む形状をしたダクト、そして大型化したカウル後端のオイルクーラー用エアインテークなど。

フロントのアクティブサスペンションの機器や配線・配管の構成はブラジルGPの時と殆ど変わらない。

一方で大きく変わったのがリアサスペンションの配線配管。左ラジエーター後方に見える筒状のものはシーズン前半ではギアボックス後方にあったオイルタンク。形状は大きく変わっているものの、はっきりとわかる写真が乏しく正確なところは不明。またエンジンのカムカバー上にあった棒状の機器はリアウイングサポートへ移動している。

右ラジエーターの後方には、シーズン前半にはギアボックス後下方に置かれていた油圧ポンプが移動して来た。油圧系の配管は正確なレイアウトがわかる写真がなくこちらも不明。

これらの変更により、シーズン前半ではオイルタンクと油圧ポンプが置かれていたディフューザー周辺はスッキリとしたレイアウトになった。恐らくこれらの機器をマシンの中心に寄せた事による重量バランスの改善と慣性モーメントの減少によるハンドリング改善を図ったものと思われる。

右サイドポンツーン内のコンピュータ機器は上後方に小さな機器が一つ追加されている。恐らくハンガリーGPから投入されたトラクションコントロールシステム関係のものと思われる。

シートベルトは107と同じくミュージアムコレクションのデカールに付いていたエッチングとモデラーズのパーツ、ベルト本体は手芸用品のサテンリボンを使った。シートの色は今回は赤としてみた。

– End –


ロータス107シリーズ製作 Vol.115 Photo Gallery / Lotus 107B ver.A


今回は前回に続きフルディティールで製作した1993年のロータス107B 1993年第2戦ブラジルGP J.ハーバート車をフォトギャラリーで紹介します。
なお、これまでの製作過程はこちらからご覧ください。

<マシン紹介>
シャシー:ロータス107B / シャシーナンバー3
エンジン:フォードHB・シリーズV / 3500cc NAV8
レース:1993年第2戦ブラジルGP(1993年3月28日決勝)
ドライバー:No.12 ジョニー・ハーバート(イギリス)
リザルト:予選12位 / 決勝4位
レース途中で降り出した豪雨よって波乱のレースとなった中、セーフティカー明け直後にピットインしてドライタイヤに交換するという賭けに出たハーバートは一度スピンを喫するもレース後半に3位に浮上し初の表彰台への期待が高まったが、後方から猛追して来たベネトン・フォードのミハエル・シューマッハに最終ラップでかわされて4位に終わった。

この年からリアタイヤの幅が18インチから15インチ狭くなり、かつ空力規制によりフロントノーズが短縮され、カラーリングの変更も相まって107とはだいぶ異なる印象となった外観。

前年のグリーンとイエローから一転、カストロールのホワイト/レッド/グリーンを基調にしたカラーにイメージを一新。エンジンカウルのグリーンは107と同じくMr.カラーのデイトナグリーンとイエローを4:1で調色。裾部分のグリーンはタミヤのレーシンググリーン、レッドは実車よりも敢えて明るく、Mr.カラーの蛍光オレンジとシャインレッドを3:1程度で調色して1990年代のF1マシンらしいビビッドな感じを出してみた。

この年からリアタイヤの幅が18インチから15インチへ、リアウイングの高さも100cmから95cmへと規制され、リア回りの印象はこじんまりとした雰囲気へと変わった。

モノコックのフロントカウル内部はキットでは省略されて大穴が開いているので、レジンでパーツを作って塞いでスペースを作った。フルアクティブとなったサスペンションは107と比較して格段に複雑な配線と配管となった。ショックユニットの基部はリア用のものを流用して金属製のスプリングを仕込んで再現した。

フルアクティブサスペンションによってリア回りの配線・配管も複雑になり、カムカバー上には油圧系の配管が乗っている。また各部のホースジョイントはモデラーズ製を使用。また銅色のデスビはSHAPEWAYSで購入した3Dプリントパーツ、ショックユニットはキットのパーツをベースに金属製のスプリングを入れている。

1993年前半戦は、アクティブサスペンション関係の油圧系配管はこのギアボックス下に配置されていた。複雑なポンプと油圧系の配管の再現には苦労した。またディフューザーの断面にはSTUDIO27のカーボンデカールを貼った。

このアングルだとショックユニットに装備されたセミアクティブ用の配管とストロークセンサー、そしてオイルクーラーのNACAダクト下に位置するジャンクションなどの配線がよく見える。エキゾーストは茶系の焼けを施してみた。

右サイドポンツーン内のコンピュータ機器は大きく変更になり大型のユニットが配置された。プラバンでスクラッチし、そしてTopStudioのコネクタと熱収縮チューブを使った。

シートベルトは107と同じくミュージアムコレクションのデカールに付いていたエッチングとモデラーズのパーツ、ベルト本体は手芸用品のサテンリボンを使った。シートの色は今回は赤としてみた。

– End –


ロータス107シリーズ製作 Vol.114 Photo Gallery / Lotus 107


2020年3月に開始したタミヤ1/20ロータス107シリーズ製作、フルディティール4台にプロポーショナル2台、計6台を同時に製作するというかなり無茶な製作でしたが、3年近くかかってようやく完成しました。

今回はフルディティールで製作した1992年のロータス107 1992年第14戦ポルトガルGP M.ハッキネン車をフォトギャラリーで紹介します。
なお、これまでの製作過程はこちらからご覧ください。

<マシン紹介>
シャシー:ロータス107 / シャシーナンバー4
エンジン:フォードHB・シリーズV / 3500cc NAV8
レース:1992年第14戦ポルトガルGP(1992年9月27日決勝)
ドライバー:No.11 ミカ・ハッキネン(フィンランド)
リザルト:予選7位 / 決勝5位(+1Lap)
デビュー2年目のシーズンで評価急上昇中だったハッキネンは予選でウィリアムズ・ルノー、マクラーレン・ホンダ、ベネトン・フォードという3強6台の直後の7位につけ、レースでは一時2位を走行し、最終的には優勝したウィリアムズ・ルノーのナイジェル・マンセルから1周遅れながら5位でフィニッシュ。シーズン6回目の入賞を果たしてその評価を更に高めた。

今回はフルディティールで製作したので、ノーズとカウルは全て着脱可能とした。内部のパーツと各種配管配線を再現しつつ、全てのカウルが閉じる様に作るのは思った以上に大変だった。

107の魅力の一つはこのグリーンとイエローをベースにストライプを配したカラーリング。タミヤ指定色のパークグリーンはベネトンB188向けのやや明るいグリーンなので、Mr.カラーのデイトナグリーンとイエローを4:1で調色。イエローはそのまま、パンプキンカラーのストライプは自作デカールで再現した。

デカールはタブデザインとミュージアムコレクションから各パーツ毎に良さげなモノを選んで使用した。またウィングやアンダートレイ等にはSTUDIO27のカーボンデカールを使用した。ハードタイプのデカールで最初は取り扱いに苦労したが、次第にブレーキダクトやボルテックス・ジェネレーターの様な複雑な曲面にも馴染ませる事が出来る様になった。

サイドビューは過去にラルースLC89/90、レイトンハウスCG911を手掛けたデザイナーのクリス・マーフィーの作風がよく表れている。107はシーズンを通じて全く同じマーキングだった事は一度も無く、レース毎にスポンサーロゴには変更があり、数の多さも相まって考証面では素晴らしくモデラー泣かせのマシン。

翌1993年に15インチへ縮小される前の18インチ幅のリアタイヤ。やはり幅広タイヤのF1は迫力があってカッコ良い。リアウィング翼端板は一体成型されている上部フラップを一度切り離して薄く削り込んだ。

107マニアがこだわるのがノーズからコブの様に微妙に不連続な曲線を描く上面の曲線。今回はフルディティールにしているので、フロントサスのカバーはキットのパーツを原型にオスメスの型を取ってレジンでペラペラに薄い物を作った。ピトー管は内径0.3mmの金属パイプ、アンテナはSTUDIO27のウィリアムズFW14B用パーツを使用した。

個人的に107の一番カッコ良いと思う部分がこのスラリと長く伸びたノーズと絶妙な曲線を描く巨大なフロントウィング。まるでカッコ良さだけを考えて作ったんじゃないだろうかと思ってしまうが、更にこれでもか追い打ちを掛けるのがダブルの巨大なボルテックスジェネレーター。フロントウィングの翼端板も薄く削っている。

モノコックのフロントカウル内部はキットでは省略されて大穴が開いているので、レジンでパーツを作って塞いでスペースを作った。ブレーキはTopStudioのマクラーレンMP4/5用の物に手を加えて使用した。フロントノーズはモノコック先端に4本突き出したロッドをノーズ側に開けた穴に差し込んで装着する方式とした。

左サイドポンツーン内のECU等の電子機器はキットをベースにプラ棒とTopStudioのコネクタ&熱収縮チューブを使用して再現。コクピット脇のアンテナはキットのパーツを使用。

写真ではわかりづらいが、カムカバー上のフォードHBロゴは自作のエッチングパーツで再現した。また各部のホースジョイントはモデラーズ製を使用。また銅色のデスビはSHAPEWAYSで購入した3Dプリントパーツ、ショックユニットはキットのパーツをベースに金属製のスプリングを入れている。

決勝レースで使われたかどうかは不明だが、今回はタミヤキットと同じくセミアクティブサスペンション搭載車としたので、ギアボックス後方のオイルタンクとその下部の油圧系機器と配管を再現した。マシンによってはセミアクティブを使用せずに油圧系機器が外されたり、オイルタンクまで撤去されているパターンも存在した。

このアングルだとショックユニットに装備されたセミアクティブ用の配管とストロークセンサー、そしてオイルクーラーのNACAダクト下に位置するジャンクションなどの配線がよく見える。エキゾーストは茶系の焼けを施してみた。

右サイドポンツーン内にはセミアクティブ系のコンピュータが並ぶ。こちらもキットのパーツをベースにプラ棒で機器を追加、そしてTopStudioのコネクタと熱収縮チューブを使った。

特徴的なフロントのモノショック式サスペンション。ショックユニット自体はリアサスペンション用パーツをベースに金属製のスプリングを入れて再現し、リアと同じくセミアクティブの油圧系配管とストロークセンサーを追加した。ベルクランクの各支点にはTuner Model Manufactoryのヘキサゴンリベットを使用した。

シートベルトはミュージアムコレクションのデカールに付いていたエッチングとモデラーズのパーツ、ベルト本体は手芸用品のサテンリボンを使ったが、もう1ランク細くても良かったかもしれない。キットのシートは小柄なジョニー・ハーバート用と思われる背中部分が厚い物なので、ハッキネン向けに少し背中部分を削って薄くしてみた。シートの色は正直判らないので今回は黒としてみた。

コクピットのスイッチにはさかつうのトグルスイッチを使用したが、ステアリングを付けると見えなくなってしまうので、ステアリングは固定せず外せる様にした。ミラーは0.1mmの洋白板を切り出して鏡面にしてみたが、少し映っているのが見えるだろうか…

ロータス107は過去に1/12でスクラッチした事もある個人的に非常に思い入れが強いマシンで、ディティールにも出来る限りの事にチャレンジしました。目指したのは1/12と同程度のクオリティだったのですが、いくつか上手く行かなかった部分はあったものの全体的にはとても満足の行く出来上がりになりました。

– End –