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ロータス107シリーズ製作 Vol.114 Photo Gallery / Lotus 107


2020年3月に開始したタミヤ1/20ロータス107シリーズ製作、フルディティール4台にプロポーショナル2台、計6台を同時に製作するというかなり無茶な製作でしたが、3年近くかかってようやく完成しました。

今回はフルディティールで製作した1992年のロータス107 1992年第14戦ポルトガルGP M.ハッキネン車をフォトギャラリーで紹介します。
なお、これまでの製作過程はこちらからご覧ください。

<マシン紹介>
シャシー:ロータス107 / シャシーナンバー4
エンジン:フォードHB・シリーズV / 3500cc NAV8
レース:1992年第14戦ポルトガルGP(1992年9月27日決勝)
ドライバー:No.11 ミカ・ハッキネン(フィンランド)
リザルト:予選7位 / 決勝5位(+1Lap)
デビュー2年目のシーズンで評価急上昇中だったハッキネンは予選でウィリアムズ・ルノー、マクラーレン・ホンダ、ベネトン・フォードという3強6台の直後の7位につけ、レースでは一時2位を走行し、最終的には優勝したウィリアムズ・ルノーのナイジェル・マンセルから1周遅れながら5位でフィニッシュ。シーズン6回目の入賞を果たしてその評価を更に高めた。

今回はフルディティールで製作したので、ノーズとカウルは全て着脱可能とした。内部のパーツと各種配管配線を再現しつつ、全てのカウルが閉じる様に作るのは思った以上に大変だった。

107の魅力の一つはこのグリーンとイエローをベースにストライプを配したカラーリング。タミヤ指定色のパークグリーンはベネトンB188向けのやや明るいグリーンなので、Mr.カラーのデイトナグリーンとイエローを4:1で調色。イエローはそのまま、パンプキンカラーのストライプは自作デカールで再現した。

デカールはタブデザインとミュージアムコレクションから各パーツ毎に良さげなモノを選んで使用した。またウィングやアンダートレイ等にはSTUDIO27のカーボンデカールを使用した。ハードタイプのデカールで最初は取り扱いに苦労したが、次第にブレーキダクトやボルテックス・ジェネレーターの様な複雑な曲面にも馴染ませる事が出来る様になった。

サイドビューは過去にラルースLC89/90、レイトンハウスCG911を手掛けたデザイナーのクリス・マーフィーの作風がよく表れている。107はシーズンを通じて全く同じマーキングだった事は一度も無く、レース毎にスポンサーロゴには変更があり、数の多さも相まって考証面では素晴らしくモデラー泣かせのマシン。

翌1993年に15インチへ縮小される前の18インチ幅のリアタイヤ。やはり幅広タイヤのF1は迫力があってカッコ良い。リアウィング翼端板は一体成型されている上部フラップを一度切り離して薄く削り込んだ。

107マニアがこだわるのがノーズからコブの様に微妙に不連続な曲線を描く上面の曲線。今回はフルディティールにしているので、フロントサスのカバーはキットのパーツを原型にオスメスの型を取ってレジンでペラペラに薄い物を作った。ピトー管は内径0.3mmの金属パイプ、アンテナはSTUDIO27のウィリアムズFW14B用パーツを使用した。

個人的に107の一番カッコ良いと思う部分がこのスラリと長く伸びたノーズと絶妙な曲線を描く巨大なフロントウィング。まるでカッコ良さだけを考えて作ったんじゃないだろうかと思ってしまうが、更にこれでもか追い打ちを掛けるのがダブルの巨大なボルテックスジェネレーター。フロントウィングの翼端板も薄く削っている。

モノコックのフロントカウル内部はキットでは省略されて大穴が開いているので、レジンでパーツを作って塞いでスペースを作った。ブレーキはTopStudioのマクラーレンMP4/5用の物に手を加えて使用した。フロントノーズはモノコック先端に4本突き出したロッドをノーズ側に開けた穴に差し込んで装着する方式とした。

左サイドポンツーン内のECU等の電子機器はキットをベースにプラ棒とTopStudioのコネクタ&熱収縮チューブを使用して再現。コクピット脇のアンテナはキットのパーツを使用。

写真ではわかりづらいが、カムカバー上のフォードHBロゴは自作のエッチングパーツで再現した。また各部のホースジョイントはモデラーズ製を使用。また銅色のデスビはSHAPEWAYSで購入した3Dプリントパーツ、ショックユニットはキットのパーツをベースに金属製のスプリングを入れている。

決勝レースで使われたかどうかは不明だが、今回はタミヤキットと同じくセミアクティブサスペンション搭載車としたので、ギアボックス後方のオイルタンクとその下部の油圧系機器と配管を再現した。マシンによってはセミアクティブを使用せずに油圧系機器が外されたり、オイルタンクまで撤去されているパターンも存在した。

このアングルだとショックユニットに装備されたセミアクティブ用の配管とストロークセンサー、そしてオイルクーラーのNACAダクト下に位置するジャンクションなどの配線がよく見える。エキゾーストは茶系の焼けを施してみた。

右サイドポンツーン内にはセミアクティブ系のコンピュータが並ぶ。こちらもキットのパーツをベースにプラ棒で機器を追加、そしてTopStudioのコネクタと熱収縮チューブを使った。

特徴的なフロントのモノショック式サスペンション。ショックユニット自体はリアサスペンション用パーツをベースに金属製のスプリングを入れて再現し、リアと同じくセミアクティブの油圧系配管とストロークセンサーを追加した。ベルクランクの各支点にはTuner Model Manufactoryのヘキサゴンリベットを使用した。

シートベルトはミュージアムコレクションのデカールに付いていたエッチングとモデラーズのパーツ、ベルト本体は手芸用品のサテンリボンを使ったが、もう1ランク細くても良かったかもしれない。キットのシートは小柄なジョニー・ハーバート用と思われる背中部分が厚い物なので、ハッキネン向けに少し背中部分を削って薄くしてみた。シートの色は正直判らないので今回は黒としてみた。

コクピットのスイッチにはさかつうのトグルスイッチを使用したが、ステアリングを付けると見えなくなってしまうので、ステアリングは固定せず外せる様にした。ミラーは0.1mmの洋白板を切り出して鏡面にしてみたが、少し映っているのが見えるだろうか…

ロータス107は過去に1/12でスクラッチした事もある個人的に非常に思い入れが強いマシンで、ディティールにも出来る限りの事にチャレンジしました。目指したのは1/12と同程度のクオリティだったのですが、いくつか上手く行かなかった部分はあったものの全体的にはとても満足の行く出来上がりになりました。

– End –


ロータス107シリーズ製作 Vol.113


2022年も大詰め、遂に3年近く続いたロータス107シリーズ製作、ココに完結です。

ロータス107 1992年ポルトガルGP M.ハッキネン車
ロータス107B 1993年ブラジルGP J.ハーバート車
ロータス107B 1993年ベルギーGP J.ハーバート車
ロータス107C 1994年ブラジルGP J.ハーバート車

4台完成しました。
コレまで何度も製作途中で投げ出してジャンクの山となっていたこのキット。今回はモデラーとして一歩レベルアップすべく、できる限りの事にチャレンジしました。何度も失敗を重ね、今までは諦めていた事態も皆さんの励ましのお陰で乗り越え、完成までなんとか漕ぎ着ける事が出来ました。本当に有り難う御座いました。

もう2022年も残り3時間を切りました。今年も本当にお世話になりました。
2023年が皆さんにとって良い事が沢山あって困っちゃう位の年になります様に。


ロータス107シリーズ製作 Vol.112


大晦日のロータス107シリーズ製作、最後の工作はミラーやアンテナ。
ミラーは0.1mmの洋白板から切り出して神ヤスで#10000まで磨いてコンパウンド。
続いて赤いキルスイッチ、さかつうで売っていたこのパーツを使用したが、フロントのアンチロールバーでも使用して大変便利だった。タグには1:87と書いてあるので鉄道模型のHOゲージ用だと思うが、一体何の部品なのだろう?
そしてコクピット横のアンテナはキットの物を使ったが、カウルの着脱時に破損しない様に取り外せる様にした。

…さあいよいよ完成させよう、と思ったが御節料理取りに行かないと。笑


ロータス107シリーズ製作 Vol.111


世間は年末。忙しくしている人、のんびりしている人、自分は全く関係無く模型製作笑
ロータス107シリーズ製作、タイヤ&ホイールの完成。
タイヤはトレッド表面に180のペーパーをゴシゴシして洗剤で洗ってからリムに嵌める。GYのロゴはテンプレがあるのでエアブラシに挑戦しようかとも思ったが、デカールのストックが沢山あるのでデカールを使った。デカールは流石のカルトグラフ品質、柔軟性が程良くストレス無くスイスイと貼れる。但しツヤが目立ってしまうので上から艶消しクリアをシュッ。ちょっとシルバリングがあるけど気にしない事にする。エアバルブはMFH製のSサイズを使用した。

因みに1993年シーズン当初はリムがシルバーに塗装されていたが、シーズンが進むにつれて省略され黒が多くなった模様。時には写真のベルギーGPの時の様に前後色違いなんて事もあった。


ロータス107シリーズ製作 Vol.110


さてさて、聖なる夜にはそりゃ模型製作ですよ。
2年半以上続いたロータス107シリーズ製作もいよいよ最終段階。大の苦手、OZホイールのイエローストライプデカールを貼る。

我ながらアタマに来る位下手(泣)で失敗ばかりを繰り返し、ストックしている様々なメーカーのデカールを総動員した結果、多少なりとも傾向と対策が見えて来た。今後もOZとは付き合わなければならないので、超長くなるが個人的備忘録として工程を詳しく。

【ソフト系デカールの場合】
タミヤやSTUDIO27(カルトグラフ)のソフト系デカールは、途中でデカールの端同士が固着しない様に十分に水を付けて台紙から剥がし、リムの内側に押し込んだらデカールの外縁がリムの外周から浮かない様にだけ注意して位置合わせし、水分が飛ぶまで待つ。この時マークセッターは軟化剤成分でデカールがふやけてしまう為使わない事。間違ってもマークソフターは使わない。またドライヤーで乾燥を急ぐのもNG。そして重要なのはこの時リムの凹面からデカールが多少浮いてしまったとしても、直したくなる気持ちをグッとこらえて待つ。ココをやり始めるとエンドレスになってデカールを壊す結果にしかならないので、とにかく我慢。
半乾き位になったらマークセッターを付け過ぎない様に注意しつつ上から塗り(水溜りになったマークセッターは綿棒で吸い取る)、デカールが柔らかくなるのを待つ。柔らかくなったらメイク用の先が程良く尖った綿棒(タミヤなどは尖り過ぎ)でとにかくゆっくり丁寧にリムの凹面に溜った空気やマークセッターを押し出しながら全体をフィットさせる。フィットの具合が悪い時やシワになりそうな時はドライヤーを使うが、デカールがデリケートなのでコレは飽くまで最後の手段と考える。それでも気泡が残ってしまう時には部分的にマークセッターを付けて押し付けるが、デカールが脆くなっているので細心の注意を。一度完全に乾燥させたら、全体にマークセッターを軽く塗って再度押さえて定着させる。

【ハード系デカールの場合】
ミュージアムコレクションやSHUNKOの様なハード系の場合は、やや糊が弱いのでリムの内周に水ではなくマークセッターを塗っておく。またデカールを台紙から剥がしてリムの内周へ押し込む際に割らない様に細心の注意を払う事。
無事にリムの内周にデカールを押し込んだらソフト系の時と同じくデカールの外縁がリムの外周から浮かない様に注意して位置合わせする。同じくこの時にリムの凹面の浮きには絶対に付き合わない事。コレをやったら100%間違いなくデカールが割れる。
位置合わせが決まってマークセッターが半乾きになったらマークソフターを塗り、ドライヤーを当てながらデカールを凹面にフィットさせる。ポイントはカーボンデカールの時とは違ってマークソフターは付け過ぎずに溜まったら吸い取り、またいきなりドライヤーを当てるのではなく綿棒で空気やマークセッターを追い出したら少しドライヤーを当てて定着させ、また綿棒で…を丁寧に繰り返す。部分的に浮きが残る様ならマークソフターをちょっと付けて定着させる。そして一通り終わったら全体にマークセッターを改めて軽く塗って再度押さえて定着させる。

コレはメーカー問わずだが、デカールはフロント・リア共通となっている。リアには比較的違和感なく馴染むが、フロントにはどうもやや大きく感じる。従って苦労するのはリアよりもフロント。この為写真の通り本来はスポークと同じ面に黄色の円全体が収まって欲しいのだが、気持ち外周に寄ってリムの凹面に若干掛かった感じになってしまうのがちょっと残念な感じ。今回は妥協したけどコレをキチンと合わせる様にするには恐らくデカールを3分割位する必要があるかも知れない(2分割だと円が猫の目?型になってしまう)。また一番ハードル高いのはハード系をフロントに貼る場合なので、もしメーカー毎の色味の違いを意識しないのであれば、ソフト系はフロント、ハード系はリアと使い分けても良いかも知れない。

因みに個人的に一番貼り易かったのはタミヤだった… 但しタミヤはニス層の余白が大きく、そのまま使うとスポークの穴に余白が掛かってしまうので、デカールを台紙から切り離す時に曲面に沿って丁寧に切り取る必要がある。
またミュージアムコレクションのうち、旧製品の剥離デカールはニス層を乾燥後に剥がすという工程があるのだが、デカール同士が一部重なる事が前提のこの部分には無理が有るので、残念ながら使い物にならない。

最後に、日頃YouTubeで製作動画を参考にさせて頂いているModeling Studio G(https://youtube.com/@nontagu)主宰のぐっさん様、私のリクエストに答えて動画で15分にも渡りこの工程を解説して頂き、心より感謝申し上げます。大変参考になりました。相変わらずの下手っぷりですが、諦めずに精進します笑