EBBRO 1/20 Lotus72E製作? Vol.2


さて前回はEBBROの1/20ロータス72Eをベースに、「どのGPの仕様を」悩みながら終了しましたが、キットを検分しつつ悩み続ける事一週間、バリエーションを作る上で幾つかの改造ポイントが見えて来ました。今回はこの改造ポイントについて触れます。

1. サイドラジエーターカウル
キットでは1973年第4戦スペインGP以後に導入されたデフォーマブル・ストラクチャーを装備した72E仕様。これ以前の72D仕様を作る為にはこのデフォーマブル・ストラクチャーを使用せず、インナーモノコックの外皮をそのまま生かし、サイドラジエーターのカウルを付ける形になる。このカウルはどうやら同社製72Cキットのパーツを改修して使えそうなので、難易度は高くなさそう。

72Eキットのインナーモノコックのパーツに72Cキットのラジエーターカウルをフィットさせてみる。72Cキットのラジエーターカウルは先端部分が切り欠かれた形状をしているので、72D仕様に合わせて先端部分が尖る様に整形する事にする。

2. フロントウィング翼端板
キットのフロントウィング翼端板は1973年第7戦スウェーデンGP以後導入された、やや面積が大きい涙滴形になっている。フロントウィング翼端板そのものは1972年第7戦イギリスGPから導入されたが、それ以来1973年第6戦モナコGPまでは最小限の面積しか持たない細長い形状をしていた。工作はキットの物を加工するか、プラ板の切り出しで自作するか。いずれにしても難易度は低。

72Eキットのフロントウィング翼端板。翼断面に沿ってガイドが付けられているので組み立ては容易。これ以前のバージョンを作る際にはこのパーツを加工するか、それともプラ板で切り出すかは悩むところ。ただそのまま使うにしてもプラスチックキットの宿命でエッジ部分がダルなので、薄く削り込む必要がありそう。

3. リアウィング翼端板
キットのリアウィング翼端板は1972年シーズン終了後の10月22日に、中止となったメキシコGPの代替としてブランズ・ハッチで行われたノンタイトル戦「John Player Victory Meeting」で導入された形状を再現している(既に同年第11戦カナダGPから、従来の翼端板を増積する形でこの形状を先取りしている)。それ以前は一応の完成形となった1972年第7戦イギリスGPから第10戦イタリアGPまではやや細長い形状をしていた。その後1973年第13戦イタリアGPからは更に面積が増積されてかなり大型の物になり、更に1974年には形状が更に変更(リアウィング本体も前縁両端が斜後方に切り欠かれた)され、以後最後まで使用された。こちらも工作はキットの物を加工、またはプラ板の切り出し程度で済むので難易度は低。

以前製作したブラジルAMD社製1/20の72Dキットのリアウィングとオイルタンク部分。エッチングパーツで出来ている翼端板は72年シーズン後半の細長い形状。因みにデカールはキット付属の物が使い物にならなかったのでFactory T’z製の物を使用した。次の項で触れるが、ウィング本体はオイルタンク両脇から伸びたロッドによって支持されている。

4. リアウィングステー
リアウィングのステーは次のオイルタンク/オイルクーラーのレイアウトと密接に関係しているが、キットは72E仕様となった1973年第4戦スペインGPから採用された、センターのメインステーと後方に伸びたブレード状の金属板1枚で支持されるタイプを再現している。これ以前はブレードではなくオイルクーラー左右下端から伸びたロッドによって支持していた。その後オイルタンクの変更に伴い形状は変化するものの、ブレード状の金属板1枚という支持方式はそのまま踏襲された。改造はさほど難しくは無いが、難易度は中程度?

採寸の為にギアボックスとオイルタンクのパーツを仮組してみた。接着剤は一切使わずここまで出来てしまうのはパーツの精度が良い証拠。後方に伸びているブレードは73年序盤までの仕様にする場合は切り取ってしまう事になる。しかしその後の仕様にする場合もこのまま使うか、薄めのプラ板で作り直すか。。。

5. オイルタンク/オイルクーラー
今回一番の改修ポイントになりそうなのがリアウィングの支持架を兼ねたオイルタンクとオイルクーラーのレイアウト。キットでは72の登場以来数多くの変遷を経た上で一応の完成形となった1972年第6戦フランスGP以後の形状を再現している。その後1973年第8戦フランスGPからは、形状には変更は無いもののリアウィングの効率向上を狙って位置が変更され、ギアボックスから伸びたフレームによって10インチ後方に移動された。更にその後1973年第13戦イタリアGPからはオイルタンクの形状そのものが変更されてリアウィングは更に2インチ後方に後退した後、1974年からはリアウィングの規制変更に伴い再度形状変更がされて最後まで使用される事になった。こちらはスクラッチする事になるので、難易度は高。

先程の仮組したパーツを側面から見る。こちらがキットそのままの状態で、73年スウェーデンGP以前の仕様。

一方73年フランスGP以後、オイルタンクはギアボックスから伸びたフレームにマウントされる様になり、全体に10インチ後退している。10インチという事は1/20スケールで12.7ミリ。写真を加工して、おおまかな採寸の為にフレームの側面形状を赤線で表現してみた。

6. タイヤ
タイヤは1972年まではファイアストン、1973年からはグッドイヤーに変更されている。タイヤそのものを作り直す積りはないが、ファイアストンの場合はストライプの追加とロゴの書き換えが必要になる。難易度はデカールの自作が必要なので高。


タイヤには既にグッドイヤーのロゴが印刷してある。ファイアストンに変えるにはデカールを自作して貼付する事になりそう。

7. ホイール
前回書いた通り、1972年シーズン以来幾つかのレースではスポーク無しのメルマグ・タイプが使用されている。自作するにしても自分は旋盤などという高価な機械は持っていないので、リーズナブルな改造方法を考える必要がある。難易度高し。

前回と同じ写真だが、ホイールは72C仕様そのままのメッキパーツになっている。72D/Eのノーマル仕様であるゴールドとブラックの2色に塗り分けるにしてもメッキを剥がさなければならない。親切さが目立つこのキットの中でもこの部分だけはちょっと不親切。

8. デカール
当然John Player Specialのロゴは入っていないので、サードパーティに頼るという選択もあるのだが、1972年仕様のファイアストンのロゴや、サイドラジエーターカウル、リアウィングの翼端板の形状変更等を考慮すると、自作する事になりそうだ。

こちらはTABU DESIGN製のフルデカール。デカールの自作は労力もコストも掛かるので、必要の無い限りはなるべくこのデカールを使いたいところだが、、、

と、ここまで全て妄想というのも淋しいので、有る程度実践的に?パーツを組み付けて見たりしながら、バリエーションに伴う改造の必要性をについて検討しました。次回迄には製作予定のバリエーションを決めたいと思います。

– END –


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